『商売往来』は、NHKのドラマ『あきない世傳 金と銀』を見て知ったもので、当時の日本の商人の徒弟たちが多く学んでいた本です。しかし、その内容は古典的な日本語で書かれているため、難解で理解しづらい部分がありました。そこで、私はその古文を研究し、現代の日本語で理解しやすい形に翻訳しました。
『商売往来』の現代日本語訳(縮約版)
商人が扱う書類、記録、証明書、注文書、受領書、質入れ、帳簿、目録、仕切り帳などがあります。まず、貨幣の種類として、大判、小判、一歩、二朱、金貨などがあり、南鐐や上銀子、豆板なども使われています。これらの貨幣が偽物かどうかを見極め、貫や目、分、厘、毛、拂などの単位で天秤や分銅を使って正確に測り、取引する際には不正確な取引を防ぐ必要があります。
次に、米や雑穀、例えば、粳米、糯米、早稲米、晩稲、古米、新米、麦、大豆、小豆、大角豆、蕎麦、粟、黍、稗、胡麻などの取引があります。商人は船でこれらの商品を運び、市場の相場を調べ、価格を決めて取引します。運賃や水上の料金も加味して、利益を計算します。損失が出た場合、商人はその損失を負担し、調整しなければなりません。
また、調味料、味噌、酒、酢、醤油、麹、油、蝋燭、紙、墨、筆などの商取引も行います。さらに、絹布や金襴、段子、縮緬、羽二重、北絹、生絹など、高級な布や織物、染色したもの、紋様入りのものなどの取り扱いもあります。商人は商品がどのような仕立てや品質であるかを確認し、適切に販売します。
武士用具や鞘、刀剣、弓矢、鉄砲、甲冑なども取り扱いますが、これらは高価で重要な商品です。また、家庭用の道具や日用品、例えば、茶碗、皿、鉢、徳利、灯籠、布団なども商人の取り扱いの一部です。
さらに、薬や香料、例えば、伽羅、麝香、竜脳、沈香、人参、甘草、肉桂、黄連、桂枝などを取り扱うこともあります。これらの薬草や香料は品質が重要で、偽薬や不良品を使ってはいけません。
商人は常に正直であるべきです。過度の贅沢や無駄な支出は避け、心を込めて取引を行い、社会や商売に貢献することが大切です。
商売を始めたばかりの若い商人は、基本的な算数や商取引のスキルを身につけることが重要です。また、余暇を使って文化や趣味を楽しむことも良いことですが、過度に贅沢を求めるべきではありません。適切に生活費を使い、計画的に商売を行えば、富と繁栄が得られます。
最後に、商人は正直に生き、他人を搾取せず、誠実に行動することが最も重要です。そうすれば、天からの祝福を受け、繁栄と幸せが訪れるでしょう。
用語の説明
大判と小判は、日本の江戸時代(1603年〜1868年)に使われていた金貨のことです。
- 大判(おおばん):大判は、江戸時代初期に発行された金の貨幣で、大きな円形をしていて、非常に価値が高かったため、商人や大名などの間で広く使用されました。大判は一枚で大きな取引を行うために使われ、当時の経済活動において重要な役割を果たしました。
- 小判(こばん):小判は、大判の半分の大きさで、金の価値は小さくても、実際には日常的に使われていました。小判は比較的多くの人々に流通していたため、商取引や税金などの支払いに使われることが多かったです。
一歩と二朱は、江戸時代の銀貨の単位で、金貨とは異なり、銀貨は日常的な取引や商売で使われていました。
- 一歩(いっぽ):一歩は、銀の単位で、1歩=1両の重さに相当しました。金貨と比較して安価で、商人や庶民が使うために普及していた通貨でした。
- 二朱(にしゅ):二朱は、1朱=約1.25グラムの銀の重さであり、二朱はその2倍の量に相当します。この単位も日常的な支払いに使用され、商品やサービスの価格を支払う際に使われました。